第40回定期演奏会 プログラム紹介

Ⅰ部

吹奏楽オリジナル曲をお届けします

1.吹奏楽のための『エール・マーチ』     宮下秀樹

新型コロナウイルスの影響で誰もが大変な思いをしてきました。私たちも思うように練習ができずにもどかしい思いをしてきました。ですので、今このように音楽を奏でられることがとても幸せです。この「エール・マーチ」は、作曲者で現役の中学校教諭をされている宮下秀樹さんが、もとは選手激励会での入退場行進曲としての使用を想定し、「誰かを応援したい時に演奏できる曲に」という想いで作曲されたそうです。さらに頑張っている生徒たちを見て、ご自身もこの曲を吹奏楽コンクールの課題曲できるようにと仕上げられました、皆様とともに「お互い頑張っていこう」というエールの想いを込めて、演奏させていただきます。(Trp. R.K)

2.アルヴァマー序曲   J.バーンズ/arr.佐藤博昭

私がこの曲に出会ったのは中学生。吹奏楽部に入り打楽器を始めた頃です。正直、今も超大大大好きな曲です。溢れる青春感と木管・金管・打楽器のリンクするメロディーとリズムは常に高揚します。実はこの曲、日本では「超速アルヴァマー」が有名となり、作曲者バーンズ氏の指定するテンポより速く演奏される事が多いのですが、“超速”に憧れて演奏するが故、終盤のポリリズムでコーナー曲がり切れずクラッシュ!となる事も・・・。それもカッコいいのですが、今回小編成に編曲された構成でゆっくり・じっくり演奏してみると、同じリズムでも場面によってニュアンスが違っており、結構難しいんです、この曲! 今回は安全運転とドライブテクニックで、大人ならではの味のある演奏ができたらと思います!(Perc. M.K)

3.ロマネスク      J.スウェアリンジェン

この曲の作曲者であるスウェアリンジェン(米国)は、多くの吹奏楽曲を世に生み出しておりますが、彼の作品に多い「急-緩-急」とは一味違った雰囲気を持っています。格調高いコラールで幕を開け、冒頭で提示されたスウェアリンジェンらしい美しい旋律が、どんどん他の楽器へと受け継がれ心地よく流れていきます。そんなロマンあふれる中世の様式美や、讃美歌のような神聖な雰囲気をお楽しみいただけるよう、心を一つに演奏いたします!(Fl. T.N)

4.エル・カミーノ・レアル                   A.リード

吹奏楽を演奏したことがある人なら誰もが知る、アルフレッド・リード(米国)。学生の頃から、リードのエネルギッシュな曲に感化されて練習に打ち込んだ人も多いのではないでしょうか。リード作品のほとんどは高校・大学のバンドを念頭に書かれたものだそうです(この曲は空軍軍楽隊の委嘱作品です)。 傑作が多く生み出された背景には、親しみやすさと芸術性を兼ね備えた作品を演奏できる若き演奏者の存在がありました。「エル・カミーノ・レアル」とはスペイン語で「王の道」の意味だそうです。アメリカに実在する通りの名前でもあり、カリフォルニアを南北に貫く国道101号線など、この名前の街道がいくつもあり、昔メキシコから修道士が布教活動に通った道に名づけられています。リードは、この街道にインスピレーションを得て、諸国の国王の行列の情景を思い浮かべてこの作品を作ったと述べています。

本日は今年生誕100周年を迎えたリードを祝して、「エルカミ」と呼ばれ愛されているこの曲を演奏いたします。(Cl. A.O)

2部

今年の話題をインスピレーションに!

5.ナショナル・ゲーム             J.P.スーザ

私が小学生の頃(1960年後半頃)に住んでいた東京都小平市には、まだ空地がそこら中にあり学校から帰るとランドセルを玄関の入り口に放り投げてバットとボールを持って空地に向かって一目散で走っていき、4人くらい揃えばボールが見えなくなるまで夢中になって草野球を楽しんだものです。プロとアマチュアなどレベルやスタイルの違いがあっても、単純に球を打ち一生懸命に走り、球を必死に追いかけ投げるといった世界に浸ると、いくつになっても子供の頃の夢中になった遊びの快感を思い出させてくれるものだと思います。野球好きだったスーザもきっと同じような想いが湧いてきて71歳の時にベースボールへの愛をこめてこの「ナショナル・ゲーム」を作曲したのではないかと思うのです。(Sax. H.T)

6.『青天を衝け』NHK大河ドラマよりメインテーマ    佐藤直紀/ arr. 下田和輝

2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」から、メインテーマをお送りします。大河ドラマ「青天を衝け」は、渋沢栄一を主人公にした幕末から明治の物語です。そのストーリーにあわせこの曲は、凜とした中に、豊かさや劇的な変化が詰まった、色彩豊かな音楽です。音楽の途中には非常に早いパッセージがあり、トランペットにとっては大きな、一回限りの見せ場がやってきます。私個人にとって非常に高い目標ではありますが、渋沢のいう「人はどこに到達したかで測られるべきではなく、到達すべき目標にどのように近づいていったのか、その歩みで測られるべきである」(「論語と算盤」)という渋沢の答えに勇気をもらうつもりで、心を込めて演奏いたします。(Trp. M.H)

7.『炎』 映画「鬼滅の刃 無限列車編」主題歌     梶浦由記/arr. 羽田野直彦

昨年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の襧豆子を人間に戻すため、鬼殺隊へ入隊することから始まります。人と鬼の切ない物語、鬼気迫る剣戟、そして時折描かれるコミカルなシーンが人気を博し、多くのファンの感動を誘いました。主題歌の「炎」は、物語を背景に、夢のシーンではふわっとした雰囲気や今回の舞台である列車がレールの上を走っていく感覚を音楽で表現しています。みなさんも炭治郎たちと一緒に列車に乗っているような感覚を味わってください。(Fl. A.K)

8.リベルタンゴ               A.ピアソラ/arr. 郷間幹男

「タンゴ」は、アルゼンチンで生まれたダンス音楽の一つです。アルゼンチンで生まれたピアソラは、自分の楽団を持つまでになりましたが、ダンスのための音楽として形式が定められ制限の多かったタンゴに行き詰まりを感じ、クラシック音楽を学ぼうとパリに留学します。そこで、ある先生に「タンゴを捨てるな」と諭され、自分のタンゴを作ることを決意したピアソラは、踊るためではなく「聴くためのタンゴ」を演奏する活動を始めます。それまでのタンゴとの違いに聴衆は猛反発し、「タンゴの破壊者」と呼ばれたピアソラでしたが、1992年の没後も彼のタンゴは音楽界に多大な影響を与え続けています。この『リベルタンゴ』も、様々なアーティストによってカバーされ、日本では米・チェロ奏者ヨーヨー・マによる演奏がテレビCMで使用され、話題になりました。「自由なタンゴ」は、その名の通りジャンルを超えて世界中に愛されています。様々な楽器にアレンジされて演奏されていますが、吹奏楽でもこの曲の魅力を感じて頂けるアレンジになっています。(Sax. M.H)

9.生命の奇跡                   村松崇継/arr. 宮川成治

数年前、友人から「思わず泣いた」と勧められて聴いたのが、私とこの曲との出会いでした。サクソフォン四重奏によるその演奏は、冒頭のテナーサックスが奏でるメロディーが何とも美しく、一瞬で心を奪われました。その後、原曲を聴いてリベラの澄んだ歌声に更に感動! 少年達の天使の歌声に私も泣きました。癒やし効果バツグンのこの曲は、ぜひ今皆さんに聴いて頂きたい一曲です。本日は吹奏楽でその魅力をお伝えできたら幸いです。(Sax. E.N)

10.ジブリ・メドレー                久石譲/arr. 高橋宏樹

海の見える街~ふたたび~となりのトトロ~ハトと少年~アシタカせっ記~人生のメリーゴーランドのメドレーです。ジブリ作品の中でも人気の挿入曲やエンディングテーマが集まっているので、どれも聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。今回は指揮者なしの演奏です。曲と曲の間などにあるテンポの変わり目は、とても大変です。団員同士の呼吸や合図、アイコンタクトでつないでいます。誰が合図を出しているのかも見どころかもしれません。難しさもありますが、息の合った演奏をお届けできるように頑張ります。(Euph. M.S)

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